ネズミによる『危険』から人間を守る!
ネズミがもたらす被害は様々です。天井裏を走る足音による「騒音被害」、ネズミの体やフンについたノミやダニ、病原菌による「健康被害」、建具や家具、電気配線などを齧られることによる「物的被害」などです。その中でも『配線』は、齧られると漏電やショートなどがおこり、火災の原因になる可能性があります。
(玄関チャイムの配線をネズミに齧られたため、真夜中に「ピンポーン」が鳴り続けたが、玄関に出ても誰もいないという、身の毛もよだつ事例もありました。)
この『配線』の処理は、ネズミの駆除の際に我々が最も気を使っているところです。
ネズミによる危険から人間を守るためには、配線をネズミから守る必要があります。
まずは、穴を埋める際の注意点からです。
配線1本の場合
これは、以前「ネズミ駆除は穴を埋めるだけではない!」の最後で紹介した隙間です。
写真ではパイプのように見えますが、電気を電柱から屋内に引き込むための引込線です。ネズミが頻繁に出入りしているため、黒く汚れています。
ネズミは、穴や隙間の配線をよく齧ります。ネズミに聞いたわけではないですが、おそらく配線を障害物とみなして齧って通り道を広げようとしているのではないかと思われます。
なので、今まで通れていた穴を塞がれると、再び通り道を作ろうと配線を齧ってしまいます。
そのため、配線を通してある穴や隙間を埋める時は、その配線を齧られないように対策が必要になります。
まず、埋める部分を中心に前後に10〜15cm長めに配線に金網を巻き付けて、ネズミの「齧り攻撃」から保護します。
この配線は特に重要な配線なので、もう少し長めに巻いています。
残った隙間を金網で埋め、コーキング剤で固定します。
これで、ネズミが入ろうとして齧っても金網には歯が立ちません。
配線が複数の場合
ある商店で、陳列用の冷蔵庫の配線を壁に穴をあけて通してあったため、そこからネズミが店内に侵入していました。
配線をまとめて金網を巻き付け、巻いた金網を奥に押し込みます。この場合、ネズミに齧られる危険度は、穴の手前側よりも奥側のほうが高いため、奥側の配線もシッカリと保護します。
配線の保護ができたら、穴をパンチングメタルで閉鎖します。
壁材は石膏ボードなので、穴を齧って広げられないように、広めにメタルを貼ります。
パンチングメタルで穴を埋める時は、メタルの切り口で配線を傷付けてしまわないためにも、配線の保護が必要です。
配線だけではない場合
今度は少し上級編です。配線だけでなくエアコン配管も2台分通っています。しかも、穴の向こう側ではそれぞれが別の方向に伸びています。
こうなると、穴の面で隙間だけを埋めて終わらせたくなりますが、エアコン配管のスポンジは簡単に齧られてしまいますし、ドレンホースを齧られると水漏れをおこしてしまいます。
まず、穴の向こう側と手前側とで配線や配管の方向を見定めて、同じ方向の物同士をまとめて金網で保護します。残った隙間を金網やパンチングメタルで埋めて、コーキング剤で固定したら出来上がりです。
手間はかかりますが、これで安全です。
もちろん、横の大きな穴も埋めます。
配線の上に粘着シートを置かない
続いて、粘着シートを設置する際の注意点です。
見ての通りネズミのフンが大量にあり、ネズミが触ったことによる黒い汚れも多く付いているため、ネズミが頻繁に活動していることが伺えます。
ネズミを捕獲するためにも粘着シートを設置したいのですが、ここでも気を付けなければならないのが配線です。
ネズミは、必ず粘着シートの真ん中で捕獲せれるとは限りません。シートの端で捕獲された場合、ネズミは逃げようと暴れながら、粘着シートや周りの物を齧ります。
配線の上に置いた粘着シートにネズミが捕獲された場合、配線を齧られてしまう可能性が高いです。
そのため、配線のある場所に粘着シートを設置する場合は「一手間」が必要です。
このケースでは、配線を上に吊るして回避させました。これで、ネズミが捕獲されても配線を齧られる心配はありません。
配線を上に吊るせない場合は、粘着シートの下に一回り大きな板を貼り付ける方法もあります。そうすれば、ネズミがシートの端で捕獲されても、配線まで歯が届くません。
他の駆除業者さんの中には、「物を動かしたり、環境を変えるとネズミが捕獲せれにくい。」と言われる方もいるかと思いますが、ネズミに齧られて火災になる方が困ります。(お客様にとっても、我々駆除業者にとっても。)
まとめ
ネズミ駆除をするにあたって、「ただ穴を埋める」、「ただ粘着シートを置く」だけではなく、その後の可能性を考えていないと、思わぬ二次被害を引き起こしてしまいます。
もちろん相手が生き物なので、こちらの予想を越えた行動をとることもあるため、避けられないこともありますが、経験上予想ができるものについては、対策を講じるべきです。