シロアリで床が沈む!
シロアリの本来の役割は、自然界で死んだ木や弱った木を食べて分解し、早く土に返すことです。少し乱暴な言い方かもしれませんが、誤解を恐れずに言うと、木造の「家」とは死んだ木の集合体です。ですから、シロアリにとっては絶好の仕事場と言えます。
それを踏まえて、次の写真をご覧下さい。
畳の縁を水色のラインと比べて下さい。明らかに部屋の中央が沈んでいるのがわかります。実際に部屋の中を歩いてみると、部屋全体がフワフワしてトランポリンのようでした。部屋に入ったときに先ず頭に浮かんだ感覚は、「怖!」です。
部屋の隅に置いてあるとタンスを退かせてみると、
畳の表面までシロアリに食べられて悲惨な状態です。
シロアリは外気や光に晒されるのを嫌うので、基本的に表面までは出てきませんが、タンスが上にあったためこのような被害になっていました。
畳を上げると、座板や畳の裏にもシロアリの被害があります。畳を移動させるために持ち上げようと踏ん張ったら、床組がミシミシと音を立てて揺れました。(ネズミ用の粘着シートがあるのは、ネズミ駆除も同時に承っているためです。)
被害が深刻すぎて補強不能な状態
座板を剥がして床下を確認したところ、大引(床を支える太い横木)がシロアリに食べられてスカスカになっていて、畳や家具、人間の荷重に耐えきれなくなり、半分程度まで押し潰されていました。
本来、大引の底面を支えているはずの束柱が、大引の真ん中辺りまでめり込んでいます。
動画を見て頂ければ、シロアリ被害の深刻さがわかると思います。
もちろんシロアリの駆除はするのですが、このままでは安全に生活することは出来ません。・・・が、補強をする場合は、添え木をしたり束柱を追加して大引を支えたりするのですが、そのためには支える相手の木にもある程度の強度が必要です。
ここまで読んで頂ければ、この床組に補強ができる程度の強度がないことは分かって頂けると思います。
安心して歩ける部屋に
本来であればプロの大工さんに依頼する状態だと思いますが、「諸般の事情により、最低限の安全な状態で。」というお客様のご要望もあり、当店で何とかすることにしました。
ここからは本業の害虫駆除とは違いますので、駆け足で行きたいと思います。
まず、シロアリに食べられてボロボロになった根太を取り払います。
続いて、新しい大引を元の大引に添わせて、高さを調整できる金属製の束で、床組を本来の高さまで持ち上げます。
元の大引に強度はほとんどありませんが、大引を取り払うと作業工程が増えるので、あえて残します。もちろんシロアリの薬剤処理はシッカリとしますので、大丈夫です。
新しい根太を施工します。
座板は、シロアリの被害はあったものの、何とか使えそうだったので再利用して、今までなかった点検口も作ります。
畳を戻して完成です。無事に平らになりました
まとめ
我々はプロ害虫駆除屋なので、害虫を駆除するのは当然ですが、サービスを通してお客様が安心して暮らせる環境を提供することを心がけています。
もちろん、今回のように被害が大きくなる前に、床下の点検と予防の対策を強くおすすめしています。