点検では気付けない!シロアリの被害
今回のシロアリ駆除のご依頼は、脱衣所の柱がシロアリに食べられてボロボロになっているとの内容でした。
被害状況は一般的だが・・・
見ての通りかなりシロアリに食べられて穴があいてしまっています。表面を触るだけでささくれてしまいそうな、まさに薄皮一枚の状態です。
珍しいタイプの床
被害の状況は珍しいものではありませんでしたが、床の造りは少し変わっていました。一般的な脱衣所の床はフローリングかコンパネにクッションフロアを貼ってあるのですが、この床はクッションフロアの下はモルタル(又はコンクリート)のようでした。
おそらく、脱衣所の湿気を考慮してモルタルの床にされたのだと思います。このタイプの床は稀にあります。が、気になるのは「床下の空間があるのか?」です。一般的な工法で木で床を組んでその上にモルタルを塗ってあるものと、砕石などで完全に埋めてあって床下の空間がないものとがあります。お客様に伺いましたがご存知ではなかったので、確認のため床下を調査します。
蟻道を確認できない
上の写真は、脱衣所手前の廊下の床下です。廊下側からはシロアリの被害は見当たりません。この基礎の向こう側が脱衣所ですが、人通口がありません。
配管を通すための穴の隙間から向こう側が確認できないかと、火バサミを挿し込んでみたところ、砕石や土などが出てきました。
この段階で、おそらく脱衣所の床下に空間はないと思われます。
一旦床下から出て、脱衣所の外を確認してみました。床下に空間があれば、通常あるはずの床下通気口がありません(もちろん基礎パッキン工法ではないです)。
これで、脱衣所の床下に空間がないことが決定的になりました。
通常の床下点検ではシロアリ被害の発見は困難なケース
床下に空間がありそうなら、廊下と脱衣所との間の基礎をハツって、床下の被害状況やシロアリの蟻道を確認して、直接薬剤を散布することも可能ですが、床下に空間がなければそれは出来ません。
そもそも今回のようなケースでは、通常の床下点検ではシロアリ被害の発見は困難です。床下に入れないときなどは、必要に応じて柱をたたいて打音を確認したりもしますが、被害の初期段階では分らないことが多いです。
どのように駆除するか
脱衣所の床下に入れない(床下の空間がない)ので、床下の被害個所に直接薬剤を散布出来ません。そこで、
被害のあった柱の側とその他数ヶ所、床にドリルで穴をあけて、床面の下の土や砕石面に薬剤を浸透させます。
シロアリの被害が隣の浴室にも及んでいる可能性も十分考えられるため、浴室の床面や壁面にもドリルで穴をあけて、薬剤をしっかり散布します。
まとめ
このように床下に入れない部屋がある構造の場合やタイル張りの浴室などは、通常の床下点検ではシロアリの被害を発見できない場合があります。
発見できない(見えない)から、シロアリの被害はないとは言い切れません。
当店ではシロアリの調査で、調査可能な範囲内で被害を発見できなかった場合でも、様々な可能性を考慮して、お客様の大切なお住いをシロアリの被害から守るための予防的な措置をご提案させて頂いています。
永く快適に生活して頂くためにも、「被害があってから駆除」だけではなく「被害にあう前の予防」も是非ご検討下さい。
なお、この物件はベタ基礎(コンクリート基礎)でしたが、今回のようにコンクリート基礎でもシロアリの被害は発生します。こちらの事例も参考にして下さい。